ゴシップボーイ

ミドルステータス男子がハイステータス女子をGETするためのブログ

ハイステータス女子とのデート懐古:恵比寿の変〜Episode9

""どうかしたの?なんかへんだよ""

 

どうかしていないわけがない。

 

女の勘は本当に鋭い。もしかしたら、男性が見ている世界と女性が見ている世界は全く異なるのかもしれない。事実、女性の方が色を識別する能力は圧倒的に優れているというではないか。赤色と一言で片付けてしまう男性は、えんじ色とあかね色を識別することは困難である。話を戻そう。

 

確かに、occkhamは数分前のocckhamではない。脳内のどこか奥深くの回路がプチンと切り替わって、目の前にいる女性を魅力的だと全然思わなくなってしまった。一生懸命に積み上げた積み木が音を立てて崩れ落ちるあの感覚に似ている。女心は秋の空という言葉があるが、男心にも秋の空があるのかもしれない。女心が少しがわかるような気がする。

 

""別に。なにもないよ。ちょっと酔いがまわってぼーっとしてただけさ""

""私もちょっと酔っちゃったかも。こんなに飲んだのは久しぶり。最近忙しくてあんまり飲めてなかったの。本当に今日は楽しかった。""

 

'そう、たのしかった'のである。ご指摘通り過去形なのだ。僕もその通りだと思った。

 

""ぼくも楽しかった。こんなにエキサイティングな夜は初めてだよ。""

""ほんとアメリカ人がいいそうなセリフね""

 

そう。ゴシップガールを見過ぎたせいなのだろうか。なにかが、occkhamに変なことを言わせている。自分の奥深くに眠る潜在意識が暴走をし始めている。今夜はこんなはずじゃなかったのにと。

もう今日のデートはお開きにしよう。これ以上続けてもなんの生産性も生まれない。

 

""そろそろ出ようか。""

 

時刻はまだ22時。シンデレラもびっくりの時間帯であった。走れメロスは走りだした時間だろうか。さすがに22時で、もう帰ろうとは言えなかった。

 

""え?なんで?もうちょっと飲もうよ。私明日予定なにもないし。""

 ""僕もないんだけど、お店の雰囲気があまり好きじゃなくて。横のカップルもすごいいちゃいちゃしてるし。すいません。お会計お願いします""

 

今回は、彼女がお手洗いに行く前にチェックをお願いした。トイレも店内にはない。店員さんがお会計をもってきた。2930円。さて彼女はどうするのか。

 

、、、

 

、、、、、

 

、、、、、、、

 

なにも言わない。やっぱり何も言わない。お財布も出さない。やっぱり出さないのである。お高い女だと思った。美人すぎて、これまで一緒にデートをした男性はみんな払ってきたのであろう。美人は確かに正義だ。しかし、そんな価値は後20年もすればなくなってしまう。そのとき、そのGAPにこの子は苦しんでしまうかもしれない。おせっかいきわまりないことを考えていた。

少し注意しようかと思った。いや、でもそれはそれでおかしい。別に法律に触れるわけでもない、悪いことをしているわけではない。注意すべき事象ではないのだ。

どのレベルならば初対面の人に注意できるのだろうか。

道ばたにゴミを捨てた▶︎注意する

デート中に寝た▶︎注意しない

鼻毛が出ていた▶︎注意しない

ブラひもが見えていた▶︎注意する

店員さんへの態度が悪い▶︎注意しない。

遅刻してきた▶︎注意しない。

この辺りは判断がつく。今回の事象はお金が関わってくるから少し難しいんだとそう思った。そして、注意しなかった。

 

僕らはお会計をすまして、外に出た。雨はより一層強さをましていた。

occkhamは持っていた折りたたみ傘をさして外に出た。

 

""うそつき。""

 

彼女が僕の顔をじっと見ている。赤ら顔は酔っているせいなのか、興奮しているせいなのか。彼女の意図がわからなかった。

 

""傘持ってんじゃん""

 

血の気がひいた。

さっき、一件目から二件目への移動中、下心で相合い傘をしたさっきの件。そして、下心がなくなってしまって自然と傘をさしてしまった件。二つの件に対して、どう説明するのが適切なのか。なにも言えなかった。彼女はどちらを気にいているのだろう。

 

店のライトがオシャレに彼女を映し出していた。地面から跳ね返った雨粒が彼女の足下を濡らしていた。ふと彼女の顔をみた。傘によって完全にガードされているはずなのに、雨粒がそっと頬をつたっていた。

 

次回につづく